仏教とスピリチュアルとの違い

仏教とスピリチュアルとの違い

今日は仏教とスピリチュアルの違いについてお話ししたいと思います。

仏教とスピリチュアル、これは明らかに違います。「その違い」は何でしょうか?

仏教では、神通力とか輪廻転生を言います。

スピリチュアルでも、ヒーリングや透視といった超能力、また前世・来世といった輪廻転生を扱います。

「仏教もスピリチュアルも同じでは?」とか「表現が違うだけで、同じ事を言ってるでしょ」とか、「西洋と東洋の見方の違いですね」とか。

こういったふうに思われる向きもあります。

しかし、仏教とスピリチュアルは違います。何が違うのか。

これは明確に知っておくと何かと役に立つでしょう。混乱も無くなります。

そこで今日は、仏教とスピリチュアルとの違いについてお話しいたします。

仏教とスピリチュアルは目標そのものが異なる

仏教とスピリチュアルとの決定的な違いは

◎仏教・・・執着(無明)を無くして涅槃に到達する実践行。言い換えれば「心を浄化」して悟る方法。

◎スピリチュアル・・・精神的、心霊的、霊的な成長を目指す。

お分かりでしょうか。最初のスタートラインが異なるのですね。

もっと簡潔にいえば

◎仏教・・・悟る。
◎スピリチュアル・・・悟らない。精神的・霊的な成長を目指す。

ということです。似ているようで違うんですね。悟りは悟りです。精神的・霊的な成長≄悟りなんです。目指すものが異なります。

仏教が目指すもの

仏教は悟りを目指します。また道徳的な部分と重なります。といいますか、仏教は道徳と親和性があります。五戒、八戒斎、十善戒といった戒律は、まさに道徳そのものです。

仏教は、まず道徳的な実践を行って言動を浄めます。そしてこの上に瞑想法が成り立っています。

仏教は「品行方正な人物」を目指すことにもなります。もちろん杓子定規的な品行方正ではなく、ナチュラルで自然体な道徳的な人間性を培っていく、それが仏教のスタートです。

この延長に、瞑想が成り立っていて、悟り・涅槃があるわけですね。仏教のこの構造を「戒(かい)・定(じょう)・慧(え)」といいます。

「戒定慧」のことを「三学(さんがく)」ともいい「八正道」ともいいます。仏教とは、まさに道徳から出発して、心を浄めていく実践行になります。

スピリチュアルが目指すもの

しかしスピリチュアルは違います。スタートラインが「心霊」です。神秘主義や心霊主義です。ですが心霊に則りながら精神性を高めようとします。

これはこれで善いことなのですが、仏教が目指す悟りとは違うということですね。

またスピリチュアルは、目に見えない世界を扱いますので、時に妄想や幻視・幻覚になります。想像なのかリアルなのかの判別がつきにくくなります。

スピリチュアルは精神的に豊かにするのが目標ですが、仏教のように「執着または無明を滅ぼして心を浄め悟る」という明確な指針はありません。

スピリチュアルでは、道徳性を言うケースもありますが、仏教のように「煩悩を無くす」というアプローチは取りません。

スピリチュアルは「仏教の副産物」をメインテーマとしている

スピリチュアルは心霊主義・神秘主義であるため、オカルトを全般に扱います。あの世を探索したり、超能力も目指します。さらには守護霊を扱ったりもします。

仏教ででは、こういったものは副産物(おまけ)になります。で、時に否定する場合もあります。しかしスピリチュアルでは、仏教が重視しない要素をメインのテーマとします。

要素だけを見れば、仏教もスピリチュアルも似ていますが、扱い方、アプローチの仕方が全く異なるのですね。

超能力や神通力に関しては、こちらでも書きましたが、メインには取り扱いません。なかにはまったく扱わない方もいる位です。

超能力や神通力を扱っても、それは副産物であって、あればありがたいけれども、無ければ無いなりに済んでしまうという立場です。

さらに守護霊といった存在は、あまり相手にしません。

大乗仏教の時代になると、護法善神として四天王をはじめとした仏教を護る神々として菩薩・明王も誕生しますが、原始仏教では、神々を信仰したり加護を強いて願うことはしません。

かといって否定するわけではないんですね。存在を認めていますが、その向き合い方がスピリチュアルとはかなり異なるということになります。

さらに仏教は、カーラーマ経にもある通り、原則的に自分で見て確かめられないものは扱わないという姿勢です。

仏教とスピリチュアルは水と油の関係~親和性が無い

したがって、仏教にスピリチュアルを取り入れることは少々難しくなります。しかしながらうまく取り扱えば、取り入れることはできます。

けれども目指す方向が基本的に違います。実践内容からみると異なります。

スピリチュアルに仏教的なものを取り入れることはどうなのでしょうか。できないこともありません。

しかし方法論だけを取り入れて、見た目は似たようなことをすることはできますが、仏教の目指すものとは違ってくるかもしれませんね。仏教は心霊主義でもなければ、オカルトでもないからです。

仏教とスピリチュアルとは目指す方向が異なりますね。

仏教は、道徳や倫理と親和性があります。スピリチュアルはおまけになります。

仏教とスピリチュアルとの違いを、よくよく知っておくことはよいことだと思います。