天宮事経~施し・五戒・礼節の徳を行えば天界へ生まれ変わる

天宮事経~天界へ生まれ変わった体験事例を集めた原始仏典

最近、パーリ仏典を読んでいます。今読んでいるのは「天宮事経(てんぐうじきょう)」というお経。前にも読んだのですが、忘れてしまったところもありましたので、再び読んでいます。

「天宮事経」は、天界へ生まれ変わった85人の天人達の体験事例集です。

「何故、あなたは人間から天界へ生まれ変わったのですか?」というのを、モッガラーナがインタビューして集めた事例をお経にしたものです。まさに「スピリチュアル」な話しです。

今だったら「85人の天使のメッセージ」と題してもいいでしょう。

天使が、「私は前世は人間でした。でもこういう善行をしたおかげで、今、天使になっています。人間界の皆さんも善いことをしてください!きっと天使になれますよ♪」といった塩梅。善因楽果の真理を説く。

ちなみに、天人は前世の記憶があるといいます。なので前世のことを語ることができるんですね。

そうだ、天宮事経を現代風にして、ナチュラルスピリット社に持ち込んでみようかな^^;こっちのほうが売れますわな(笑)

天宮事経の現代和訳本が出版(藤本氏)

が、最近、現代和訳の「天宮事経」を藤本氏が出版されています。これですね。

表装がいいですね。仏教らしい重厚な装いでありながら天界ちっくです。ですが、どう現代語訳しているかは気になるところです。実際に読んでみないとわかりませんね(まだ手にしていません)。

ちなみに私が読んでいるのは、昔ながらの南伝大蔵経。「小部経典Ⅰ」というもの。

漢文調の読みにくいものですが、それでも読んでいると感動します。ええ、思わず涙がこぼれます。「やっぱり仏教はいいなあ」と感銘を受けます。

天宮事経には天界へ生まれ変わった感動的な話しがいっぱい

たとえば、人間だった時代、他人の家に身を寄せていた孤独で貧しかった女性が、当時いらした阿羅漢に食事を供養したところ、その功徳によって、死後、天界の最上位クラスである化楽天に転生したという話し。

天宮事経には、

・貧しい人
・下男下女
・社会的に地位の低い人達

などが、善行に励んだり、五戒を守る、仏法に帰依して修行に励んだ結果、死後、天人となった事例を85ケース紹介しているんですね。

おそらく、天人へ転生した人間の皆さんも、実際のところ、善を成すことの苦労があったものと思います。お経には、そうした苦労話しは載っていませんが。

施し、戒め、礼節の3つの徳のいずれかでも行えば死後、天界へ往生する

天宮事経」の要諦は「施し」「戒め」「礼節」の徳によって、人は死後、天界へ転生するということです。

  • 施し(自分が持っているものなどを物心両面にわたって与え続ける)
  • 戒め(五戒、十善戒、八戒斎を守り自制する)
  • 礼節(礼拝、礼儀、礼節を守り、うるわしい態度を守る)

この3つになります。この3つを行ったり守ることで、死後、天界へ行くなどして、しあわせになれるとしています。

さらに、ダンマに帰依し、修行をすれば、大安楽となることが紹介されています。

驚いたのは、

  • 五戒だけを守ったところ、三十三天(上から5番目の天界)に生まれ変わった
  • 善行を続けている人は、死後、化楽天(上から二番目の天界)に生まれ変わる
  • ブッダや阿羅漢に、一回だけ供養しても、三十三天へ転生する(ブッダや阿羅漢への供養は一発でOKみたいな輪廻転生のボーナスポイント)

ということ。

しかし、ブッダや阿羅漢には、ちょっと誹謗や中傷しただけでも、死後、地獄へ行って1万年苦しむとかあります。阿羅漢への対応って諸刃の剣。

もしもお会いして、下手なことを言えば、ブービートラップにかかって地獄へ真っ逆さま。あーれー〜〜〜になります。こわい、こわい^^;

もっとも仏典は、多少スパイスを効かせて、仏教至上主義に編成している形跡もありますので、恐怖度満点の描写は、よくよく考える必要があると思います。

ちなみに死後、天界(天上界)へ生まれ変わるためには「6つの徳」のいずれかが身につけば可能ともいわれています。

神(天界)に生まれ変わる6つの実践方法と悟り・解脱の方法

  • 浄めの徳の実践(心を浄め、欲をかきすぎたり、異常な怒りを持たない)
  • 喜びの徳の実践(常に元気でほがらかにして陽気であること)
  • 慈悲の徳の実践(生き物や物質にも感謝と愛情を持って接し続ける)
  • 施しの徳の実践(物質的にも精神的にも施し続ける)
  • 礼節の徳の実践(礼拝、礼儀、礼節を守り、うるわしい態度を守る)
  • 戒めの徳の実践(五戒、十善戒、八戒斎を守り自制する)

五戒を守るだけでも天界へ転生する

それにしても「善行」もさることながら、「五戒」を守ることの大切さよ。五戒がここまで重要かつ生命の根本に直結していたとは思ってもいなかった。

そもそも五戒を破らず守っているだけで「悪趣」にいかない。決して不幸にならないということ。これってすごい。

  • 殺生・・・命そのものの破壊。
  • 窃盗・・・命がながらえることを破壊。命がながらえる糧なりを奪う行為。
  • 不倫・・・命が誕生し育み成長する基盤(家庭)を汚し破壊する行為。
  • ・・・命のつながりを混乱させ破壊する行為。
  • 飲酒・・・命が本来有する「気づき」「プレゼンス」を破壊する行為。

中でも、「殺生」「窃盗」「不倫(邪な性行為)」の3つは命を破壊する行為ですからね。罪が重たい。

なので、この3つの罪を犯すと、身体的に苦しむようになったり、人から嫌われたり、酷いいじめを受け続け、孤独になったり、家庭・家族に恵まれず、貧困にも悩むとか。

で、これが7回生まれ変わっても罪が消えないこともあるとか。マジでびびってしまいますがな。恐ろしすぎ。

が、先ほどにも書きましたが、仏典は少々オーバーに描写している可能性もあります。こうした恐怖度満点の描写は、慎重になったほうがいいですね。いたずらに恐怖心を植え付けかねません。

想像以上に大切な「五戒」

それにしても「五戒」。

現代で犯しやすいのが「窃盗」かもしれません。相手に強要したり、立場を利用して金品や利益を取得すること。騙す、誤魔化す、詐欺を働く、不誠実をしながら取得すること。

これらは、多少は、企業活動、ビジネスの中で、やってしまうときがあります。てか、やらないとビジネスにならない職種もあります。どこまでが許容範囲かということになりますなあ。

あと「妄語・嘘」。これも、どこまでが「やさしい嘘」とみなせるか。微妙な線引きでしょう。この「善か悪か」の感性もまた大事だったりします。

で、「不倫、邪な性行為」。これは一部の人達は頻繁に行っています。浮気、不倫は一般的になっていますが、生まれ変わった後、悲惨な苦労を重ねますのでね。お止めになったほうがいい。

あと「女遊び」もそう。邪な性行為もヤバそうです。

「不倫、邪な性行為」が広まっているのは問題ですなあ。この罪は人生を破壊するレベルですのでね。「不倫、邪な性行為」をしている人達の行く末を思うと、空恐ろしくなります。

で、やっぱりダンマは素晴らしい。俗世間な観点から見ても「しあわせ」を実現することが可能。が、「しあわせ」現象はおまけみたいなもの。心が浄らかなので、「しあわせ」がついてくるというものですね。

で、そういう「しあわせ」の安楽に住しながらも、安楽におぼれず(中庸にいながら)、悟り、解脱へと向かうのがブッダの説いた道。なんと深遠で素晴らしいことか。

このことを世間に広く教え伝える必要を痛切に思います。私と縁ある方々は、善行の輪でもあって欲しいと思います。また善行に励む、そんな関係でありたいものです。

テーラワーダの界隈でも大きな変化が起きそうですし、ここ1〜2年の間で、私も、より変わっていきそうですし、激動激変の時期を迎えつつあるような気もします。

新しい流れは、どうなるんだろうか。神々のご加護を願いつつ。

2017/09/05