地獄絵本~恵心僧都の往生要集

地獄絵本が人気?

今、地獄絵本が流行っているそうですね。知りませんでした。

白仁成昭さんの手による「絵本・地獄」といいます。アマゾンでのレビューも興味深いです。
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わが子もちょうど嘘つきになり手を焼いたころに購入して読ませました。子供が嘘をつきだす小学2、3年生ごろが最も適しているかと思います。もう、親の目も届かず、説教も届きません。

しかし血を流す罪人を見てショックを受ける感受性はまだ豊かに持っています。効果はてき面すぎるほどで、泣きそうな顔をして、それでも目を離すこともできず、食い入るように見入っていました。遊びに来た友達にまで見せていました。友達も「私、もう他の子をいじめるのやめる」と言っていました。
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なるほど。このレビューを読み、思わずうなってしまいました。いえいえ地獄の話しは大人も効果があります。子どもだけではありません。大人も悪行為への抑止効果がありますね。

恵心僧都の「往生要集」の地獄

esin.jpgこの絵本の元となっているのは、平安時代に浄土教の布教に活躍した恵心僧都(源信)の「往生要集(おうじょう-ようしゅう)」です。

往生要集とは文字通り、極楽に往生するための要点集、現代風にいえば、「極楽への行き方マニュアル」です。

宗教を含めて精神世界というのは、今も昔も変わりません。名称やパッケージ、表現が異なるだけで、本質は同じです。

恵心僧都の「往生要集」は、「どうすれば極楽の世界に行けるか」というノウハウが書かれています。

ノウハウといっても、これは浄土の教えの中での方法論でして、果たして往生要集に書いて有るとおりを実践して、極楽に行けるかどうかはわかりません(無理でしょう)。

しかし往生要集に書いていることは、善行も含まれていますので、中庸の心で実践すれば、天界へ往生することはできるかもしれませんね。

往生要集は、仏教の論書である「アビダルマ」を元にして書かれています。往生要集では、極楽の前にまず地獄を説きます。その地獄の有様が、アビダルマに記載されている世界で、原始仏教にもほぼ同様の記述があります

ですので、恵心僧都の「往生要集」は、ほぼ正確に地獄の世界を描写しています。

地獄はリアルに存在します。本当にあります。悪行為を行えば、重なれば、必ず地獄へ行くでしょう。ですので、悪行為をしないようにしないといけません。

脅しになってはいけませんが、訓戒として気をつけた方がいいでしょう。

もっともこの「絵本・地獄」は、いじめっ子や、ウソをつく子ども、やんちゃな子どもには効果がてきめんだと思いますね。

西川隆範の「絵本 極楽」

地獄の話しは、ナイーブで優しい性格のお子さんが聞くと、ショックが強すぎて悪い意味でトラウマになってしまうかもしれません。性質の良いお子さんは、西川 隆範さんの「絵本 極楽」がいいと思います。

おとなしい子や、性質の良い子は、天界の話しを知って、よい行いをますます盛んにするようにしたほうがいいですね。

悪いことをダメと叱って教育する方法と、良いところを伸ばして褒める教育。どちらも必要です。最近は子どもを叱らないシツケが流行っているようなのですが、子どもによりけりです。自分の子どもは叱るタイプなのか、褒めるタイプなのか、見極めることですね。

ちなみに極楽絵本の著者の西川 隆範さんはシュタイナーの関連書も翻訳していますね。シュタイナーも優れた良い智恵や教えを残しています。シュタイナーは天界から来た方もしれません。

それはさておき、地獄は空想の世界ではありません。本当に実在するリアルな世界です。

この正反対が天界です。天界もリアルに存在します

人間だけが善悪の行為のどちらもダイナミックにできます。ですので、できるだけ善行為を心がけたいものです。