アヌンナキ説とは異なる人類誕生と天地創造を伝える長部経典27「起源経」

天地創造と人類誕生

原始仏典が伝える「天地創造と人類誕生」。

実のところ原始仏典には、天地創造と人類誕生についての伝承があります。

典拠となるのはこちらのお経。
・長部経典27「起源経」
・長部経典26「転輪聖王修行経」
・増壱阿含経34「七日品」四十の一

これらのお経には、
・梵天から下生したのが人類の起源
・人類初の罪とは何か?
・カーストが誕生した理由
・出家制度が始まったエピソード
・人間の寿命の歴史
・弥勒仏の予言
・世界の構造
・世界の終わり

といったことが伝承されています。

大変スケールの大きな話しです。
けれどもほとんど知られていません。

この記事では、原始仏典に伝わる「天地創造」と「人類誕生」についてダイジェストでお伝えしたいと思います。

世界の崩壊と生成

宇宙はビッグバンで始まったといいます。

が、原始仏教では、宇宙はいつから始まったのかはわからないけれども、崩壊と生成を繰り返しているという立場です。
 
約800億年とも8垓(がい:兆・京の上の単位)年のサイクルで、世界は崩壊と生成を繰り返しているとか。ひょえーーー。

人類誕生の諸説

原始仏典では、人類誕生は「梵天(宇宙最高神)の神が下生したのがはじまり」としています。
 
ちなみに人類誕生の説を、スピリチュアルも含めて整理しますと、

  • 創造主が人間(アダム)を作った・・・旧約聖書「創成期」
  • サルから進化した・・・ダーウィン「進化論」
  • 宇宙人が作った・・・ゼカリア・シッチン「アヌンナキ」

といったところになりますね。

なお進化論も仮説といいます。で、創世記も進化論もアヌンナキも、すべて実証されていません^^

一般的に知られている「人類誕生」の説は、すべて仮説です。実証されていません。

そういった中で、原始仏典が伝える「人類誕生」の話しは、西洋では決して出てこない発想でもあります。決定的に異なります。

どのように異なるのか。
それは以下の通りです。

人類は宇宙最高神の化身だった

そもそも世界が滅びるときに、ほとんどすべての生命は梵天(ぼんてん)という宇宙最高神に転生していったといいます。これが原始仏典が伝えるところの始まり。
 
で、世界が消滅し、やがて惑星(地球)が誕生したときに、梵天の世界から「生ける者」が下生してきたといいます。

これが「人類の最初」。
「生ける者」は梵天の化身。
その気になれば梵天界へ戻ることもできたといいます。
 
で、優れた性質を持ち、全身から光を発していた「光の存在」。うーんおもいっきりスピですね。 
 
で、身体には骨や肉がなく、空を自在に飛びまわり、喜びをエネルギー源としていた神々(こうごう)しい存在であったといいます。

人類最初の罪は「窃盗」

そんな神々しい人類は、小さな「執着」がきっかけで堕落していくようになります。

で、ついには窃盗・嘘・殺生を犯してしまうことに。

出家のはじまり~梵天に立ち返る行為

で、ある人達は「大昔は、我々は偉大なる梵天の化身だった~」と過去を振り返り、反省して、ふたたび梵天に立ち戻ろうとしたといいます。

で、これが「出家のはじまり」になったといいます。
 
人々の中には、出家をして、独りで生活を開始。朝と夕方には托鉢にまわって食事を得て、性的なことを一切しない梵行(ブラフマチャリア)の生活。
 
で、禅定を作って元来の梵天の神と同じ存在に立ち返ろうとしたといいます。これが「出家」のはじまり。

出家は梵天に立ち戻ることから始まった

こうした伝承を知りますと、インドの出家は、元々「梵天」に立ち返ることを目指していたことがわかります。
 
で、悟り・解脱に関しては、出家は必須ではありませんからね。なぜならブッダの時代にも大勢の在家が悟っていたからです。
 
出家は、インドにあった慣習なので、ブッダはこれにならったというのが本当のところだと思います。

で、在家も出家と同じか、それ以上に悟っていたことが、原始仏典にも伝承されています。そんな在家にフォーカスしたのが、次回の講座の内容となります。

次回は在家のほかに、アショーカ王についてもお話しいたします。さらに原始仏典の問題点や陥穽についてもご紹介します。

ということですが、原始仏典に伝わる「天地創造」と「人類誕生」のお話しでした。ダイジェスト版なので、かなり割愛していますけどね。