六道輪廻

六道輪廻(ろくどう-りんね)は聞いたことがあると思います。実は六道輪廻はお釈迦さまが発見したことです。厳密にいえば、五道輪廻を発見され、後に阿修羅界が組み込まれて六道輪廻になっています。

お釈迦さま以前のインドでは、もちろん輪廻思想はありましたが、もっとシンプルな輪廻転生の思想です。天界と人間界と地獄の3つの世界を行き来する素朴な輪廻思想でした。

しかしお釈迦さまは「五(六)道輪廻」を言います。五(六)道輪廻とは、地獄、畜生、餓鬼、人間、天界の5つです。これに阿修羅を加えて六道です。

生命は、この6つの境界をグルグルと移り変わっていくといいます。

お釈迦さまは、宿命通と天眼通という超能力を持っておられました。現代でも「前世を知る」とかありますが、お釈迦さまの前世を見通す能力は、そんなレベルではありません。

自分の過去世を何億回もさかのぼり、しかも自分自身の前世だけでなく、天眼通という能力であらゆる生命の前世をも数多くさかのぼり見通していかれました。このことは仏伝ほか、パーリ経典にはいくつも記録として残っています。

お釈迦さまものすごく数の多い生まれ変わりの様を見ていましたので、輪廻転生のパターンも読み切っていたのでしょう。ですので、お釈迦さまの言葉とは、こういう生命の輪廻の様を踏まえて言われた金言と受け止めた方が無難ではないかと思います。私は仏教をもっとも信頼するのも、お釈迦さまの透徹した洞察力があるからです。

ところで生命が輪廻する数は一体どれくらいなのでしょうか?よく輪廻転生の話しが出ますよね。過去世の記憶にさかのぼるワークとかセミナーもありますし、そういう療法もあります。大抵、「前世のあなたはどこどこで○○をしていましたあ」、といった感じですね。

相応部経典の中に、輪廻に関して言及したお経がいくつかあります。それを読みますと、お釈迦さまはこう言っておられます。

「人が死んで生まれ変わる間に流した涙の量は、海の量よりも多い」

「指先につまんだ土を現世とするならば、人の輪廻は、この地上にある全ての土よりも多い」

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途方もない数の生まれ変わりです。まさに無限に近い輪廻を、生命は続けていることをお釈迦さまは言っておられます。

さらに、宇宙が生じて崩壊した後、最初の生命が誕生する話しも述べておられます。この辺りは、旧約聖書の創世記よりも詳細な描写になっています。

生命は、宇宙の生成崩壊も数え切れないほど体験していて、お釈迦さまは、宿命通と天眼通という神通力で見通されていました。

仏教(原始仏教)での教えとは、お釈迦さまのこういった非凡な能力を踏まえておっしゃっているところがあります。

つづく