初期大乗の成立と禅定力

さて続きになりますが、初期大乗が成立した理由として一般的には、

・部派仏教における大衆部の反発
・部派仏教へのアンチテーゼ(反発)
・正式ではない僧侶(ニセ僧侶)がが紛れ込んできた
・在家による仏教運動

と考えられています。大体、この辺りが理由で、初期大乗は誕生したと考えられています。
複数の要因が絡んで初期大乗という運動が起きてきたのが本当のところだと思います。
「ズバリこれ」という理由ではなく、複合して、しかもインドの各地で勃興した潮流だったと思われます。

ところで、初期大乗の仏典を見ていきますと、その荒唐無稽性(失礼)に度肝を抜かされることも多くなります。お釈迦さまは超人的存在となり、人間離れもしてきます。SF的な話しも多くなり、とてもではありませんが実際にあった話しには思えなくなってきます。

もちろん原始仏典にも理解しがたい話しもあることも事実です。けれども原始仏典におけるSFっぽい話しはそれほど多くはありません。

初期大乗の時代になりますと、SF並の話しが多くなるわけですね。
これらは妄想の類なのでしょうか。
私はわかりません。

ですが、初期大乗が成立した背景に「禅定力」があるとする説があるようです。

禅定力。
深い瞑想状態で得られる神通の力のことです。
禅定という状態になりますと、実に不思議な能力を発揮する方が出てきます。神々と交信をされたり、テレパシーのような能力が出てきたりと、いわゆる超能力的なことが起きてくるようです。

中には、別の銀河系宇宙の様子まで分かってしまう力を持った方もいらっしゃるようです。

実際、初期大乗をはじめ、大乗仏典の多くは、当時、禅定力に優れた方々が垣間見た「別の宇宙にいらっしゃった仏陀」の話しという説があります。
別の宇宙にいらっしゃった仏陀を、強い禅定力で見てきたというのです。

この銀河系以外の宇宙で起きた「ブッダ物語」ということです。
初期大乗経典に「他方の仏土」とありますが、この「他方の仏土」が別の銀河系宇宙であると。
観世音菩薩(観音様)も「他方の仏土より来る」とありますね。
一般的には、西アジアで信仰されていた神を仏教が輸入したと考えられていますが、本当は「別の宇宙(他方の仏土)」という意味であると。

「まさか?」と思われるかもしれません。

いや、その「まさか」でして、禅定力で垣間見る世界の話しは、通常の人間の認識力や概念をはるかに超えています。にわかに信じがたいものがあります。
実際、禅定力を持った方々のお話を聞きますと、「???」と頭の中にはてなマークがポコポコと出てきて、理解不能になります。「妄想?」と思ったりもします。いや本当かもしれません。
私には判断できないため、判断を棚上げしています。実に不思議な世界でもあります。

禅定力で世界を見始めると、常識や通常の人間の感性でとても理解のできない世界があることが分かってくるようです。

話しを戻しまして、初期大乗は、こうした禅定力に優れた方々によって作られたものではないかとする説もあるということです。

原始仏典にもSFっぽい話しはいくつかあります。たとえば増支部経典というのがあり、このお経の中に「ブッダの声は三千世界(銀河系)、その気になればもっと多くの世界まで声を届けることができる」といったことが書き残されています。またブッダは、一つの世界に一人しか誕生しないともあります。ほかにもあります。

こういう話は本当かどうか分かりません。しかし原始仏典にも残されているということですね。私は、これらのエピソードは本当の話しであろうと理解しています。禅定力(神通力)で垣間見た様子ではないかと推測します。

ですので、禅定力を背景にして、初期大乗が生まれたという説、これはあながち滅茶苦茶ではないと思っています。それどころか、大いに関与していると考えています。初期大乗は、禅定力が根底に強くあるとさえ思っています。

初期大乗が誕生する以前にも、仏教教団は二大分裂を引き起こしているケースがあります。「根本二大分裂」といわれる事件ですね。仏教史では有名な出来事であり事件です。

この根本二大分裂の歴史を追っていきますと、意外なことに気付かされます。
それは、禅定力が原因で(と推測できる)、教団内に混乱が起きたと思われる節がある点です。このことはあまり知られていないと思いますし、指摘もされていません。

しかしパーリの経典群の中には、驚くような記録書があり、これを読んでいますと、「なーるほど」と思えてきます。

初期大乗が成立した根底に禅定力があるとする理由は、根本二大分裂の事件の辺りから見いだせると思っています。