六欲界(天界)での神々の生活

さて六道輪廻のうち、幸福に満ちた天界という神々の世界のご案内です。天界のうち「六欲界」と言われる世界の説明です。説明といいましても、パーリ仏典をはじめ論書に書いてあることを要約してブログに書いてまいります。

おさらいですが、「六欲界」とは天界の一番下にある世界になります。一番下といいましても神さまの世界です。六欲界のほかに、色界、無色界という神々の住む世界があります。

無色界・・・物質を伴わない「心」だけの存在 ← 無色界禅定に達すると入れる(転生できる)

色界・・・物質を伴いつつも、禅定と呼ばれる深い統一感と気楽に満ちた世界 ← 色界禅定に達すると入れる(転生できる)

六欲界・・・物質を伴い、通常の生活を営む神々の住む世界 ← 五戒・十善戒を守り、施行をしっかり行うと入れる(転生できる)

このようになっています。
六欲界は、善行(五戒や十善戒を守り、施行)をしっかりと行うことで、人間も転生できる世界になります。しかし色界や無色界は、禅定といわれる深い瞑想の境地に達しないと入ることができません(転生ができません)。

坐禅を何故行うのかといえば、心を禅定という特殊な状態にしたいからです。禅定に入ると、心は統一感と喜楽の状態になるといいます。スピ系で言われる「ワンネス」という状態です。これが色界や無色界の心になります。

六欲界は、平たくいいますと「プラス思考」の塊です。常に楽しく、ハッピーで、喜びにあふれています。しかも落ち着いています。人間界と同じように、生活の営みをしているようです。

六欲界の世界とは

六欲界の天界の幸福感は相当なもののようです。人間が味わう幸福が水滴とするなら、六欲界の幸福感は大海のようなものだといいます。想像できますか?極上の幸福感でしょうね。想像を絶する幸福感だと思います。そんな幸福感に満ちた状態が900万年以上も続くわけですね。

美しい風景で、池、山々も息を呑むほどの美しさだといいます。宝石がちりばめられていたりして、見るもの聞く物の全てが美しさを放っているようです。住居も光り輝く宮殿であり、全ての天子は20才、天女は16才のままで、その美しさは死ぬまで衰えることは無いといいます。

これらの美しさは、全て、善行による結果です。善行に励むことで、このような美しく若々しく、絶頂の幸福感が得られるようです。

善行とは、五戒や十善戒を守ることと、施しを行うことです。この二つをしっかりと守って行うことで、天界という極楽の世界へ転生できるというのですね。

そうして、過去世の善行の大きさに従って、四大王天、三十三天、三十三天、夜摩天、兜率天、楽変化天、他化自在天という境涯に転生するようです。

ですので、
1.戒・・・五戒や十善戒
2.施・・・ほどこし

この2つを心がけるだけで幸福な輪廻の旅ができるというわけなんですね。
反対に、この2つを疎かにすると、地獄餓鬼畜生といった暗い世界へと行ってしまうようです。

ちなみに、

3.修・・・ブッダのダンマを実践する

というのが加わると、在家仏教徒の修行となり、悟りに至るチャンスも出てきます。

「戒」と「施」は仏教徒以外の方でもできる幸せになれる方法です。これに「修」が加わると、仏教徒の実践となるということです。「修」とは八正道の実践です。「気付きの瞑想」もそうです。

六欲界の日常生活

話しを戻しまして、そうして神々は、食事も取ります。食事といっても人間のように動植物を食べるのではなく、精神的なエネルギーです。実は仏教では食事に4種類あるとしています(四食【しじき】といいます)。段食(だんじき)というのが人間が主に食べる食事で、この他に精神的な食事が3種類あります。神々は、こういった精神的なエネルギーを食事にしているようです。

このエネルギーは、楽しむことで生じるようです。ですから、神々は何を行うことにしても喜楽の気持ちで行うようです。とことん楽しんで、喜びに満ちて、幸せな気分で生活することで、どんどんエネルギーが出てきて、お腹も一杯になるようです。

こういう精神的なエネルギーを生み出して、食べていますので、神々は排泄しないようです。大便や小便が作られないといいます。女性の場合、生理も無いといいます。ちなみに男性の神は精子も作られません。で、女性は妊娠もしないのですね。ですが、性行為はできるようです。

と書きますと、「え?じゃあ神々はどうやって誕生するのですか?」と思うかもしれません。実は、神々の場合、化生(けしょう)といって、突然、パっと誕生します。母親の膝の上に、突然、パっと誕生するといいます。

そうして男性は20才、女性は16才になり、そのまま900万年(人間界の時間に換算)以上の長寿を生き続けるといいます。

人間界と同じように、物を作ったり、販売したり、勉強をするとかの普通の生活があるようです。中には、死ぬまで遊び続ける神さまもいらっしゃるようです。

神々は、楽しむことに疲れたり、遊ぶことが億劫になり出すと、死期が近くなるようです。死期が近づくと、それまで美しかった容姿に衰えも見られ、光も弱くなり、服にもほころびが出てくるようです。そうして死期が来ると、パっと消えて、どこか別の生命に転生していくようです。

ちなみに17世紀にヨーロッパで活躍したスウェデンボルグは霊界を幻視していますが、これがリアルであるなら天界を幻視したものと思われます。

話しはまだまだ続きます